あおい調剤ニュース

曼珠沙華

2023.10.03

「暑さ寒さも彼岸まで」という諺にもあるように、彼岸を迎えると夏の暑さも和らぎ始め、季節の変わり目を感じます。正月とお盆だけでなく、過ごしやすくなったお彼岸にもお墓参りをして、御先祖様に感謝申し上げたいものです。

 

秋のお彼岸の頃に深紅の花を咲かせる曼珠沙華は別名「彼岸花」と呼ばれています。
開花までの順序が、普通の植物とは逆になっているのが特徴で、曼珠沙華は毎年、晩秋から葉を茂らせて、冬から春にかけて球根に栄養分を溜め、夏を迎える頃には葉が枯れて、秋雨をたっぷり受けて開花します。赤い花の印象がありますが、交配種の白色の花もあります。田んぼの畦道、河川の堤防、墓地などに植えられましたが、最近では目にする機会がかなり減りました。

 

薬用には鱗茎を用い、生薬名を「石蒜(せきさん)」といいます。鱗茎にはアルカロイドを含み、鎮咳去痰や鎮痛、降圧、催吐などの薬理作用が知られ、市販の鎮咳薬に配合されています。含有成分のガランタミンは、アルツハイマー型認知症治療薬「レミニール®」として発売されていますが、残念ながらヒガンバナと同じ科のマツユキソウの鱗茎から見出され開発されました。ヒガンバナのアルカロイドは作用が激しく、一般的には毒草として取り扱われていますので安易に用いないでください。